X線イメージング装置は白色ハッチ及び第2実験ハッチ内のイメージング用定盤上に設置してあります。本装置はそれぞれ入射光学系、試料ステージ、後段光学系、及び画像検出器(X線CCDカメラ)等で構成しており、これらの装置を組み合わせることにより、準単色(金属でフィルタリング)及び単色放射光を利用して
が可能です。なお、いずれの手法においても試料を回転させるCT(Computed tomography)により、非破壊で内部三次元観察も可能です。この際、当施設で開発している再構成計算(フィルタードバックプロジェクション法)ソフトによる断面像の計算も可能です。
各手法の主な特徴は以下の通りです。
放射光の種類 |
空間分解能 |
計測時間 |
視野 |
|
マイクロCT |
準単色 |
3µm |
~5分 |
2 mm(H) × 2 mm(W) |
マイクロCT |
単色 |
3µm |
3時間 |
2 mm(H) × 2 mm(W) |
吸収CT |
単色 |
20µm |
10分 |
3 mm(H) × 15 mm(W) |
位相CT |
準単色 |
100µm |
~5分 |
2 mm(H) × 10 mm(H) |
位相CT |
単色 |
20µm |
1時間 |
10 mm(H) × 10 mm(H) |
白色ハッチ内の光学定盤の写真(利用時はパスを撤去して利用。右端がBe窓)
単色ハッチ内のイメージング装置の写真
(各種ゴニオとサンプルステージを来る合わせることで
マイクロCT、屈折コントラストCT、吸収CT、ラミノグラフィーなど
多彩なイメージングを実施可能)
水冷スリット(TC1)により入射光サイズを設定し、最大で横15 mm、縦 3mm程度の白色光を利用可能です。さらに、水冷した各種金属フィルター(Al, Ni, Cu, Agなど)を用いることにより、中心エネルギーを5 keV程度の精度で変更することが可能です。
各金属フィルターにおけるエネルギースペクトル
X及(水平)びZ軸(垂直)の位置決めステージ、及びCT用回転ステージを準備しています。CTの回転軸は水平及び垂直いずれも可能です。
画素数
2560 pixel ×2160 pixel
画素サイズ
3.25 μm × 3.25 μm(2倍対物レンズ利用時)
1.3 μm × 1.3 μm(5倍対物レンズ利用時)
0.65 μm × 0.65 μm(10倍対物レンズ利用時)
有効入力エリア
8.3 mm × 7.0 mm(2倍対物レンズ利用時)
3.3 mm × 2.8 mm(5倍対物レンズ利用時)
1.7 mm × 1.4 mm(10倍対物レンズ利用時)
画像転送レート
50 フレーム/秒
高分解能X線カメラの構成
微化石(星の砂)の観察例(計測時間は100秒)
タルボ干渉法と同法によるサラミの観察例(計測時間は約100秒)[2]
[1] Yoneyama A, Baba R, Hyodo K, Takeda T, Nakano H, et. al. AIP Conference Proceedings, 1696 (1), 020007 (2016).
[2] Yoneyama, A., Kawamoto, K., and Baba, R., Development of fast phase-contrast X-ray imaging system using Talbot interferometry and pink synchrotron radiation at SAGA Light Source, P27, XNPING2019 (2019)
非対称度4及び6度のSi(220)非対称結晶により、入射X線の縦幅を最大10倍程度まで拡大することが可能です(最大20 mm程度)。
X及(水平)びZ軸(垂直)の位置決めステージ、及びCT用回転ステージを準備しています。CTの回転軸は水平及び垂直いずれも可能です。また、入射角0~90度まで可変でラミノグラフィーを実施することも可能です。なお、試料の回転中心への調整は回転ステージ上の手動マイクロステージにて行います。
ファイバーカップリング型の高感度画像検出器です。
ファイバーカップリング型の高感度画像検出器です。
貸研究室において、当センターで開発した画像処理ソフトにより、イメージング(CT)データの再構成・解析作業を行うことができます。
1部屋・1ヶ月あたり29,700円を日割り計算します。
施設利用申込書を下記まで提出してください。
総務課
TEL:0942-83-5017
FAX:0942-83-5196
メールはこちら
スポンジ(左)とインゲン豆(右)の観察例
(計測時間は約3時間)
ラット尾の3次元像(計測時間は1時間、密度分解能は1 mg/cm3)[3]
トルコキキョウ(種)(佐賀県農業試験研究センターご提供)の観察例
(計測時間は約3時間)
<参考>説明資料「九州シンクロトロン光研究センター説明会 in 大阪」(2019年3月28日)
スクレロリンクス科(絶滅したエイの仲間)の歯
(地層・時代:久慈層群玉川層(後期白亜紀・約9千万年前)、
御提供:早稲田大学国際教養学部 平山廉教授、採集者:大倉正敏氏)
キャピラリー中の微化石
(御提供:元(国研)産業技術総合研究所 地質標本館 芝原暁彦氏)
微化石の実体化例[4](直径1.5mmの化石を20倍及び40倍で再現)
琥珀に閉じ込められた昆虫の実体化例[3](計測は高感度な位相イメージング法を利用)
[3] Yoneyama, A., Lwin, T. T., and Kawamoto, M., Fast diffraction-enhanced imaging using continuous sample rotation and analyzer crystal scanning, Journal of Synchrotron Radiation 27(2) (2020)
doi: 10.1107/S1600577519016795
[4] 米山明男,馬場理香, 放射光イメージングと3Dプリンターを組み合わせた化石の高精細三次元再構成の試み, 化石研究会会誌 15, 53-58(2019)
タンパク質結晶X線回折計およびX線広角散乱測定装置は第1実験ハッチ内の定盤上に設置してあります。通常は、縦置き型φ軸ゴニオメータにマウントしたタンパク質結晶からの回折像をX線CCD検出器で撮影する「タンパク質結晶X線回折計」として使用しています。この装置のダイレクトビームストッパーを変更し、φ軸ゴニオメータを回転させずに散乱像を撮影することで「X線広角散乱測定装置」として使用することも可能です。
各手法の主な特徴は以下の通りです。
水冷スリット(TC1)により入射光サイズを設定し、最大で横15 mm、縦 3mm程度の白色光を利用可能です。さらに、水冷した各種金属フィルター(Al, Ni, Cu, Agなど)を用いることにより、中心エネルギーを5 keV程度の精度で変更することが可能です。
タンパク質結晶X線回折計とする場合
X線広角散乱測定装置とする場合
この装置のシャッター/ゴニオメータ/X線CCD検出器は、リガク「CrystalClear」により同期制御されています。このソフトウェアシステムを用いることで、回転写真法によるX線回折像収集や、静止写真法によるX線散乱像撮影が可能です。
撮影された回折/散乱像は「リガクimgフォーマット」で記録され、指数付け・回折強度収集ソフトウェアパッケージ「XDS(※1)」等や、散乱強度積分ソフトウェア「FIT2D(※2)」等による解析が可能です。
※1 http://xds.mpimf-heidelberg.mpg.de/
※2 http://www.esrf.eu/computing/scientific/FIT2D/
リガク「CrystalClear」
※ 使用される際にはビームライン担当者にお声をおかけください。
主に薄膜X線回折測定を目的とした大型多軸回折計(Huber製 Diffractometer 5021)です。
高エネルギーX線(15 ~ 30 keV)を用いた回折実験を行うことができます。試料周辺部の空間が広いことから様々な試料環境制御装置を設置でき、多彩な回折実験に対応可能です。
など。
第2実験ハッチ内最下流の定盤上には、4象限スリット・試料ステージ・イオンチャンバー等X線検出器が設置されており、XAFS測定装置として利用することができます。
BL07での基本的なXAFS測定可能元素は「第5周期元素(Rb ~ I)のK端」となっています。これらより吸収端が低エネルギーの元素(例えば、第4周期元素のK端や第6周期元素のL端)は、XAFS測定時に分光器デチューンをおこなうことで実施できる場合があります。
黄色 :K端
緑 :L端
オレンジ色 :K端(分光器をデチューン)
水色 :L端(分光器をデチューン)
BL07のXAFS測定装置で測定できる元素
試料はシグマ光機製フィルターホルダー「FHS-50」にクランプしてセットします。
※ 特殊な形状の試料セルを用いる場合には、その固定方法について事前にご相談ください。
※ in situ 実験等で特殊な試料環境装置を持ち込まれる場合には、事前にご相談ください。
入射X線強度用(I0)
透過X線強度用(I1)
リファレンス透過X線強度用(I2)
フロー用混合ガス
イオンチャンバーへのフローガスとして、
の混合ガスを常設しています。これらの組み合わせにより14 keV ~ 35 keVの透過XAFS測定をおこなうことができます。
※ 14 keV以下でのXAFS測定をおこなう場合に必要な混合ガスはBL07での常設対象ではありませんので、事前にビームライン担当者に問い合わせてください。
ライトル型蛍光検出器
※ 計測系はI1の信号処理系を使用
シリコンドリフト検出器
・帝国電機 転換電子収量法チャンバー
※ 計測系はI1の信号処理系を使用
※ 他ビームラインとの共用機器(2台)ですので、使用予定のある場合はビームライン担当者に連絡の上でスケジュール調整をおこなってください。
封入したペレット試料の温度を室温から1073Kまでの範囲で調節しながら透過XAFS測定をおこなえる高温炉が利用可能です(他BLと共用)。
上記した高温炉等に反応性ガスや還元性ガスを流量調整して導入し、ガス漏洩時には自動停止・緊急パージをおこなうための「ガス供給・除害装置」が利用できます。
利用するガスは、原則としてユーザー持ち込みとなります。利用できるガス種については、ビームライン担当者にお問い合わせください。
上記した以外の試料環境(低温、湿度、電圧印加等)については、ユーザー持ち込みの装置を利用することも可能です。持ち込まれる装置のサイズや電源等について、ビームライン担当者と入念な事前相談をお願いします。
ビームラインのPCにインストールされた測定ソフトウェアを用いて、
でのXAFS測定が可能です。この測定ソフトウェアでは、計測系電流アンプのゲイン設定や分光器チューニング(デチューンも含む)およびイオンチャンバーフローガスの切替えがすべて自動でおこなわれます。
イオンチャンバーに流す混合ガスは、PCからリモートで切替え可能なシステムに接続されています。XAFS測定ソフトウェアに入力された測定元素から、適切な混合ガスの選択・切替えが自動的におこなわれて、I0およびI1(とI2)に導入されます。
第2実験ハッチ内最下流定盤上のXAFS測定装置を蛍光X線分析装置として流用することが可能です。
最高35keVのX線を励起X線として試料に照射することで、ヨウ素までの元素の蛍光X線を含む蛍光X線スペクトルを取得することができます。
入射光学系・試料ステージ・実験定盤はXAFS測定装置の項を参照
ビームラインのPCにインストールされた測定ソフトウェアを用いて、シリコンドリフト検出器信号処理系の設定と、照射時間を指定した蛍光X線スペクトルの取得とファイル保存をおこなうことができます。またスペクトル取得に同期した入射X線強度積分値や蓄積リング電流値も同期して取得・保存されます。