所長挨拶

 

公益財団法人佐賀県産業振興機構
九州シンクロトロン光研究センター
所長 妹尾 与志木

 2019年4月1日付けで所長に就任して以来、今年で3年目を迎えます。2021年度もどうかよろしくお願い申し上げます。

 当所のようなシンクロトロン光利用共用実験施設を有する研究機関は現在日本に8機関(施設建設中を含めると9機関)あります。多くは国立の研究機関や大学ですが、当センターは日本で初めて「県」が運営する研究センターとして2006年2月に開所し、地方の研究拠点として歩みを続けております。当センターの役目の一つは、実験室レベルの研究設備ではなし得ない高度な研究を支え、科学技術の発展への一翼を担うことであり、今一つはこれらの活動で得た科学技術基盤を土台として地方の産業の活性化、あるいは地域そのものの活性化に貢献することです。

 県内への貢献のためには、利用申込企業に代わって当センターの研究員が測定や解析を行うことができ、2時間単位での利用が可能な「包括利用」制度の創設(利用は2018年度より)、県内の企業、公設試、大学等と積極的にコンタクトをとり広範に課題解決のお手伝いをする「産業利用コーディネーター」の配置(2019年度より)などを実施して努力を重ねてまいりました。産業が必要とする科学の範囲には非常に広いものがありますので、それらに対応できるように、当センターでは他の研究機関との連携強化に努めています。他機関ビームラインを運営されている佐賀大学、九州大学、同じ鳥栖の地に拠点を持つ産業技術総合研究所九州センター、あるいは佐賀県内の工業技術センター、窯業技術センター等の機関が主な連携先です。県内の企業、公設試、大学等における当センターの利用実績は、そのような活動の成果のひとつの指標と考えることができますが、2018年頃から着実に増え続けています。今後も弛むことなく努力を続けていきます。

 当センターでは、日本全国のシンクロトロン光利用共用施設8機関の中で、パワーデバイス材料などを主な研究対象としたトポグラフィー技術を用いる研究、食品科学などが扱えるイメージング技術を用いる研究等を自施設を代表する特徴的な研究領域として伸長させようとの方針を立てています。2021年度はそのような研究領域についての研究拠点化、情報発信源化などに一歩踏み込んでいきたいと考えています。2020年度末には、当センターの研究員が中心になって作成した論文が有名な科学雑誌「ネイチャー」に紹介される、という出来事も起こりました。このような基礎科学への貢献から地域産業への貢献まで、継ぎ目のない状況でカバーできるようになることが理想です。当然のことですが上述のような研究機関の皆様との密接な連携関係構築が必要不可欠の要素です。

 現在、世界中がコロナ禍で大変な思いをしています。幸いなことに当センターでは2020年度、感染防止を目的とした施設閉鎖は免れることができましたし、日常的な活動につきましても、例年行っている施設の一般公開をweb開催に変更するなどの措置はとったものの、施設利用は全体として例年に近い水準を維持することができました。これも皆様のご協力の賜物と感謝いたしております。

 2021年度におきましても、様々な面での皆様のご指導、ご協力が必要です。科学という土台をもとに産業を支える当センターの活動に対して、変わらぬご支援をいただければ大変幸いです。どうか今後ともよろしくお願い申し上げます。

2021年4月