ユーザーインタビュー

   上村主席現在、住友電工の解析技術研究センターに所属しています。当部署では、住友電工グループで開発あるいは生産している素材や製品について、分析およびシミュレーションによる支援を実施しています。私の担当は、実験室装置では対応出来ないケースに対し、放射光分析を適用することです。放射光施設としてはSPring-8とSAGA-LSを主に利用させて頂いています。

   坂本研究員佐賀県農業試験研究センターでは、イネや野菜、花などの農作物の品種開発や栽培技術等の研究を行っています。私は花の担当で、現在、キクの品種開発について研究を行っており、通常の交雑育種と、放射光や重イオンビームを利用した突然変異育種による品種開発を行っています。

 

   上村主席2009年に、BL15にてビスマス系超電導材料の結晶配向性評価を実施いたしました。同超電導材料は、Bi(ビスマス)-Sr(ストロンチウム)-Ca(カルシウム)-Cu(銅)-O(酸素)で構成されるもので、特にBi:Sr:Ca:Cuの組成比が2:2:2:3となる通称「2223相」の臨界温度が110Kと高いことが特徴です。超電導線材の性能向上には2223相の純度を高め、かつ、結晶の並び方(配向性)を良くする必要があります。しかし、当社の超電導線材は超電導層が銀シースで覆われており、ラボのXRDではX線が透過できず、X線回折測定は不可能でした。そこでラボ線源より強力な放射光を利用した結果、所望の測定を実施出来ました。

   坂本研究員:当センターでは、これまでにもキクの品種開発において、重イオンビームやX線を利用した突然変異育種に取り組んできました。そのような中、平成18年に鳥栖市に九州シンクロトロン光研究センターが開所され、放射光も量子ビームの一種であることから、突然変異育種の変異原として、活用できる可能性が考えられました。そこで、平成20年より、貴センターとの共同研究を開始し、現在に至っています。

 

   上村主席最近では、BL11にて固体酸化物型燃料電池のin-situ透過法XAFS測定を実施しています。我々が開発している燃料電池は、市販品(動作温度800〜1000℃)より低温(400〜600℃)で発電することを特徴としています。研究の目的は発電効率の向上や劣化メカニズムの解明ですが、発電環境下で着目している触媒元素の状態評価が可能な手法は、ラボ装置では実現不可能です。ビームラインスタッフの方々には、測定時の課題や持ち込み機材の不具合等が発生した際にも懇切にご対応頂き、大変お世話になりました。

   坂本研究員:現在、BL09Aでキクに放射光を照射し、突然変異の誘発を行っています。これまでにスプレーギクと輪ギクの照射試験から、花色や花形、開花の早期化等の有用な変異を確認できました。キクへの照射では、試料を照射台にセットし、1回5分程度で約80試料に照射ができ、複雑な工程もなく、比較的簡便に作業を行うことができます。試験にあたり、貴センターのスタッフの皆様からは、照射に関するアドバイスや情報提供など、様々な支援をいただいており、いつも有難く思っています。

 

   上村主席放射光分析に対し、定常的なオペレーションと短納期対応を求められることが増えています。これは当社において放射光がラボ装置同様の分析ツールとして認知されているためです。要するに、放射光施設は当社にとって不可欠のものとなっています。

   坂本研究員:当センターでは、これまでにキク以外にダイズやイチゴ、イネ等でも試験を行っており、様々な農作物の品種開発において、放射光を変異原として利用できることを明らかにしました。今後も、本県の品種開発における重要な一つのツールとして放射光を活用し、役立てていきたいと思っています。また、県内で放射光を利用した品種開発ができることは、大きなメリットだと思います。

 

   上村主席現在は一日一回もしくは二回入射での運転がなされています。入射直後と終盤でのX線強度変動が気になるため蓄積電流を通常運転の上限一杯に維持するTop-up運転が実現すればと思います。

   坂本研究員:これまでの試験から、有望な変異体を作出できており、放射光を利用した品種を育成し、佐賀県の農業に貢献できるように、一層頑張っていきたいと思っています。また、農作物の突然変異育種は全国の研究機関で行われていますが、放射光を利用した研究は、ほとんど行われていない状況であり、今後の発展が期待される分野であると思います。今後も、ご指導とご協力をよろしくお願いします。

 

   上村主席速さよりも着実に研究が前進するように心がけています。

   坂本研究員:花の品種開発に携わる上で、「感性」や「美意識」を大切にしています。花は、見る人それぞれで感じ方も違いますが、多くの人に「素晴らしい、きれい!」と思っていただけるような美しい花を開発したいです。感性磨きと趣味を兼ねて、プライベートでも、いろいろな植物を育てて楽しんでいます。


公益財団法人佐賀県地域産業支援センター 九州シンクロトロン光研究センター
〒841-0005 佐賀県鳥栖市弥生が丘8丁目7番地 TEL:0942-83-5017 FAX:0942-83-5196

(C)SAGA-LS.All Rights Reserved.