ユーザーインタビュー

九州大学シンクロトロン光利用研究センター(ビームライン)杉山氏:九州大学ビームライン(BL06)は、硬X線を利用できるビームラインで、九州大学シンクロトロン光利用研究センターが運用を担っています。硬X線は透過率が高いので、大気中や特定ガス雰囲気下、更には溶液中での物質の状態を調べることに活用しています。利用研究分野は、物質科学や材料科学を始めとして多岐に渡りますが、例えば触媒の研究では、異なる組成の構造解析を行い新しい触媒の開発に役立てています。利用研究に応じて、また、その動向を踏まえながら、より高度な分析ができるようにビームラインの開発を進めています。

九州大学クリーン実験ステーション 有田氏:私の専門は薄膜工学・表面科学で、現在は主に機能性薄膜の研究を行っています。例えば光触媒機能を持った酸化チタンの薄膜や、太陽電池・フラットパネルディスプレイで使用される透明導電性薄膜などです。九州大学クリーン実験ステーションは、マイクロ波顕微鏡による観察が可能な高性能走査型プローブ顕微鏡などの最先端機器をクラス1000のクリーンルーム内に設置したSAGA-LS内の施設で、産学官の広いフィールドのユーザーに対してもその利用を開放しています。

 

 

・ビームライン 杉山氏:九州シンクロトロン光研究センター(SAGA-LS)が稼働したことで、九州大学にとっては地理的な利便性が格段に向上しました。九州大学には、物質科学や材料科学といった分野で優れた研究を進めている研究者が数多くいますので、学内の研究者にとって利用しやすい環境を提供できていることが大きなメリットです。また、新しい科学の開拓に繋がる挑戦的な研究に対しても実験上の試行錯誤を重ねられる環境にあります。学部・大学院生の研究教育や人材育成を推進する上でも最先端の分析法を学べる貴重な場所になっています。

・クリーン実験ステーション 有田氏:私は学内利用として専門分野に関する実験を行うとともに、九州大学クリーン実験ステーションリサーチコアのメンバーとして、共用事業の利用者支援にもあたります。施設共用の方針として、特に地元企業をはじめとする様々な分野の方々の利用を募っており、施設常駐のスタッフを中心としてトライアルユースから本格的な利用まで、迅速で手厚いサポートを行う体制が整っています。

 

・ビームライン 杉山氏:九州大学ビームラインは、XAFSとSAXSの2種類の分析装置を備え、研究に応じて利用されています。XAFSは、物資によるX線の吸収係数の波長(エネルギー)依存性を調べることで物質の酸化状態や結晶構造を調べる分析法です。SAXSは、物質によるX線散乱パターンの散乱角度が小さい領域を解析して物質の構造情報を得る分析法です。平成24年度からは学内での共同利用を開始しており、利用者の課題申請を審査する方式を採用しています。利用課題には、学部・大学院生の研究も含まれています。実際にビームラインでの実験を経験しながら放射光分析の活用法を習得して、卒業後の研究の場で直ぐに活かせる人材の育成を進めています。

・クリーン実験ステーション 有田氏:現在私が主に利用している測定手法は走査型プローブ顕微鏡の一つのケルビンフォース顕微鏡です。非常に鋭利なプローブを使用することにより微小領域における表面電位の測定が可能となっており、酸化物薄膜の電子状態や表面状態に関する様々な情報を得ることができます。共同で研究を行っている九州大学の学生さんとともに実験を行うことも多く、最先端の機器を使用した実験を実際に経験することで多くの知識を身に着けてほしいと考えています。

 

・ビームライン 杉山氏:平成23年度から「放射光分析支援グリーンマテリアル研究拠点形成」と題したプロジェクトを推進しています。地球環境・生活環境の浄化のためのプロセス用「グリーンプロセスマテリアル研究」、省エネルギーデバイス用「クリーンエネルギーデバイス研究」、人間に優しくライフ・イノベーションにも貢献できる「エコソフトマテリアル研究」を三本柱としたグリーンマテリアルという新たな概念を提起し、グリーン・イノベーション創出を先導する研究教育拠点の強化、人材育成を進めています。グリーンマテリアルをキーワードにして社会での実用化に直結する研究・開発を促進するとともに、新しい科学を拓く研究に貢献したいと考えています。

・クリーン実験ステーション 有田氏:実験で得た興味深い研究結果については、内外への発表という形で発信していきたいと考えております。一方で、外部ユ
ーザーの方々の利用によって得られたデータは、利用者サイドにおける問題解決や新たな事業展開のための有効な手段となると考えます。さらに、地域産業の高度化や新規産業の創出につながっていくものになればと期待しています。


・ビームライン 杉山氏:九州大学ビームラインの建設から現在の運用まで様々な面でご協力頂いています。九州圏内の大学、研究所および企業が連携して協力し合える体制の構築に今後ともご尽力頂けると幸いです。

・クリーン実験ステーション 有田氏:SAGA-LS内に設置された設備として、大変良い環境で実験をさせていただいております。これからもこのような環境の中で施設利用を続けさせていただけると幸いです。

 

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