ユーザーインタビュー

 

佐賀大学シンクロトロン光応用研究センター 高橋氏:BL13のナノスケール表面界面ダイナミクスビームラインは、高輝度のシンクロトロン光を発生できる平面型アンジュレータからの光とビームライン近くに設置したレーザー装置からのレーザー光を用い、物質内部の電子の状態を調べることができる実験方法である光電子分光法を主な手法として、ナノ、バイオ、光機能性などをキーワードとした物質や材料の電子状態を調べる研究をしています。パルス光であるシンクロトロン光とレーザー光を組み合わせることにより、物質が光で励起された状態を時間分解で測定ができることが私たちのビームラインの特徴の1つです。 

株式会社ニコン 神高氏 :ニコンでは波長13.5nmのEUV(極端紫外光)光を利用して半導体集積回路の微細なパターンを基板上に焼き付けるEUV露光装置の開発を行っています。EUV露光装置ではEUV光学系を構成する多層膜反射鏡の寿命が重要なため、我々が使用している専用ビームライン(BL18)では、サンプル多層膜表面に波長13.5nmのEUV光を照射し、その際に生じる反射率変化を評価しています。多層膜反射鏡にEUV光が照射されると、雰囲気中に僅かに残留した有機ガスが化学的に変化して反射鏡表面に炭素が付着するなどして反射率が低下することが知られています。我々はEUV光照射環境の残留ガス成分や多層膜表面の構造、また、多層膜の成膜条件が反射率変化にどのように影響しているかを調べ、データを蓄積しています。

高橋:汎用的なビームラインでは多くのユーザーの要望に応える必要があるため、特定の研究テーマに特化した整備などは難しくなります。また、通常の利用実験では、高精度な先端的実験ができるというメリットの一方で、マシンタイムには制約がでることがほとんどです。これらのことにとらわれずに中長期的な計画で、毎日継続的に先端的な実験研究を進めていくことができています。また、単なるユーザーを超えた今後のシンクロトロン光利用研究の分野を率いていく人材を育成する場となることも期待しています。

神高:継続して利用でき、必要な強さのEUV光を照射できる実験装置として専用の実験装置を設置しています。EUV光の照射実験では微量の残留ガス成分も問題となるため、照射環境を履歴も含めて常に管理・把握できるという点も専用ビームラインの大きなメリットです。

 

高橋:おもな測定手法は光電子分光法です。各スタッフの研究課題に加えて、外部の利用者とともに共同研究実験、設備利用実験もおこなっています。サポートは各スタッフが分担しておこなっています。光電分光法の初心者でもお手伝いをしていますので、お問い合わせをお待ちしています。所属する学生は利用実験だけではなく、新たな測定手法の開発や装置整備などもテーマとしています。これは専用ビームラインを設置しているからこそと思います。

神高:BL18ではEUV反射率を測定しています。測定作業は少人数で行うことが多いため、測定の自動化、作業のマニュアル化によって作業者の負担をできるだけ小さくするようにしています。逆に言うと通常の測定では限られた部分しか操作しないため、メンテナンスや装置調整の際にはできるだけ多くの装置使用者が参加し、ビームライン全体の状況が把握できるよう心がけています。

高橋:ナノメートルスケールの物質系や表面で起きる興味深い物理現象を明らかにすることに大きな関心を持っています。これは物理的な興味に加えて、例えば次世代の電子デバイス材料やエネルギー材料の開発研究に結びつくものです。また、研究センターでの先端的な研究を経験して卒業していく学生達が10年後や20年後の日本を支えていく人材として活躍して欲しいと思っています。

神高:BL18で得られるデータは、EUV露光装置の光学系透過率の低下を防ぎ、高い処理速度を維持できる装置を実現するために非常に重要なデータです。BL18のデータを活用して長期間安定した露光が可能な露光装置を実現したいと考えています。

高橋:大学の実験室レベルでは難しい先端的設備が、アクセスが極めて便利な所で利用できるメリットは大変うれしいです。佐賀大学のグループは研究センターの設立当初から参画してきたわけですので、先端研究の拠点、そして若手人材育成のための拠点としての利活用がよりいっそう促進できるように協力をさせて頂きたいと考えています。

神高:日頃、光源リングの安定した運転にご尽力いただきありがとうございます。弊社は施設から遠い関東に拠点があり、1週間単位での実験を行っています。そのため、週の途中に光源トラブルなどで運転スケジュールが変更になった場合には、実験予定の調整・変更が思うようにできない場合がありますので、計画通りの運転をぜひお願い致します。

 

 

 

 

  

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