ユーザーインタビュー

User Interview
今回のユーザーインタビューでは、佐賀県窯業技術センターの白石特別研究員と、茶業試験場の宮崎係長にお話を伺いました。

User's Information

どのような研究をされていますか?

白石研究員1窯業技術センター 白石特別研究員:

佐賀県窯業技術センターでは、有田焼をはじめとする県内窯業産業への技術的な支援を行っており、技術相談や依頼試験、また陶磁器製品やファインセラミックス製品等の研究開発を行っています。この中で、私は顔料等の陶磁器の色に関する研究開発を行っています。

茶業試験場 宮崎係長:

佐賀県茶業試験場には、育種および栽培技術等を担当する茶樹研究担当係と製茶加工および品質評価技術等を担当する製茶研究担当係があり、後者を担当する私は明石技師ならびに石橋農業技術員と一緒に、製茶機械の開発、加工技術の改良、新製品および品質評価技術の開発を行っています。お茶の流通には品質評価技術が必要不可欠であり、その主流は官能評価ですが、私たちは分光学的手法を用いて簡便かつ迅速に品質の数量化を行う手法について研究してきました。現在は有機成分に加えて無機元素含量が品質に及ぼす影響について研究を進めています。


放射光のメリットはなんですか?

白石:
陶磁器の発色技術は、過去の製造技術を基に確立してきました。しかし、陶磁器発色機構は科学的には、未解明な部分が多くあります。この様な発色機構の解明は、従来の一般的な分析機器のみでは非常に難しく、この分野の研究はあまり進んでいません。
放射光分析のメリットはXAFS測定等により、発色原因である原子の価数や配位数、隣接原子間距離といった今まであまり解らなかった情報を得ることができる事です。この様な新情報から、陶磁器発色機構の解明に繋がる事を期待しています。

宮崎係長1宮崎:無機元素含量の測定は、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)等を用いて化学分析を行う必要があり、そのためには硝酸のような強力な酸で試料を分解し液化するなど複雑かつ危険な作業が伴います。一方、放射光を利用した蛍光X線分析では試料を錠剤整形して試料台にセットするだけですので、簡便であり安全性も向上します。また、放射光は太陽光の1万倍という輝度があるため、ノイズの少ないクリアなデータを得ることができます。


よく利用するビームラインと測定手法は何ですか?

白石:
主にBL11、BL7で陶磁器の発色源である鉄、銅、銀のXAFS測定を行わせていただいています。スタッフの方々には、測定法のアドバイスや検出器の交換(透過法→Lytle)等の様々な支援をいただいています。

宮崎:これまでは主にBL-15を用いて蛍光X線分析を行ってきましたが、今後は新設されたBL-7にも期待しています。


研究成果をどのようにフィードバックしたいですか?

白石研究員2白石:
未解明な陶磁器の発色機構を明らかにすることで、陶磁器製品の発色安定化による歩留まりの向上や、今までになかったような発色の陶磁器製品の開発を目指しています。

宮崎:放射光の農業分野への有効利用については、未知の世界であり最初は戸惑うこともありましたが、SAGA-LSの皆様のご支援により、おかげさまで目標としていた成果に到達しつつあります。
現段階では、茶葉ならびに茶園土壌に含まれる無機元素含量を計測することにより、産地判別や高品質茶安定生産のための肥培管理技術の改善等に活用可能なレベルに近づいており、茶業関係技術者を通じて生産者の皆様の経営改善に役立てていきたいと考えています。さらに、本研究で得られた成果は、農産物、食品全般および土壌に含まれる無機元素含量の迅速な分析法として応用可能であり、産地判別、品質評価さらには安全性評価等へと発展が期待されます。

研究センターに対するご要望などをお聞かせください

宮崎係長2白石:研究を進めるにあたり、より高度なXAFSデータの解析が必要になってきて
います。データ解析の手法等、今まで以上のご意見やご指導を頂ければ幸いです。

宮崎:農業ならびに食品産業分野への放射光利用は緒についたばかりであり、今後発展が期待される分野であると思っています。機会を捉えて農業ならびに食品関係学会等にも放射光の有効性を発信していきますので、今後とも情報交換を密にしながらご指導、ご協力をお願いいたします。






ご協力、ありがとうございました。

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