スタッフから

世界一周シンクロトロン光の旅 BLグループ岡島敏浩
昨年(2011年)夏に北太平洋→北米大陸横断、北米→南米大陸縦断、南北大西洋縦横断、ユーラシア大陸横断と、10時間超のフライトを4回経験しながら、ハリファックス(カナダ)とブジオス(ブラジル)で開かれた学会で2件の口頭発表を行った。また、スウェーデンとイギリスの放射光施設(Max-Lab、Diamond Light Source(DLS))を訪問しセミナーや研究者とのディスカッションを行った。8月20日の出国から9月10日の帰国までの3週間程度で世界一周をしたことになる。会議内容の報告は別の場所ですることとし、ここでは、今回訪問した幾つかの都市について簡単に紹介する。
旅のルートマップ

カナダ/ハリファックス
写真1ハリファックスはカナダの東の端、セントジョーンズ島にある港街である。近くには『赤毛のアン』の作者ルーシー・モード・モンゴメリの生れたプリンスエドワード島がある。モンゴメリは大学時代、学会が開かれたダルハウジー大学に通っていたそうである。当時の校舎を探したが、既に解体されたとのことであった。また、1912年のタイタニック号が沈没した時の救助にあたった街としても知られている。港近くの海洋博物館には、当時の遺品や資料がたくさん展示され(写真1)、郊外にはその時なくなった多くの人たちが埋葬されている。

ブラジル/ブジオス
写真2ブジオスはリオデジャネイロから車で3時間程度かかる海岸沿いのリゾート地である。ブラジルは治安の悪さが心配されるところであるが、ここでは一人で街中を歩いていても、(不気味ではあるが)特に安全に不安を感じることはなかった。バス、タクシー以外の交通手段が無く、アクセスに不便な場所であるが会場をブジオスにしたのは、参加者の安全面を考慮した結果、と学会中に噂が立っていた。学会中には参加者の懇親を深めるためにバンケットが開かれるが、そこはブラジル、これまでに経験したことのない趣向が練られていた。バンケットはその日の学会が終わった後の午後7時から近くのヨットクラブで行われた。ご当地の料理やお酒が振る舞われ、夜11時頃に用意されたものがほぼなくなり、そろそろお開きかと思った時に突然、大音響とともにサンバチームが会場に現れ、会場はサンバのリズムを楽しむ人たちでいっぱいになった。写真2はサンバのリズムを楽しむ学会参加者たちである。写真には学会実行委員長のカンポス先生とその夫人も一緒に写っている。出張者は日が変わる前に会場を後にしたが、大勢の人が残って、踊り続けていた。

写真3ブラジルは2014年のサッカー・ワールドカップと、2016年の夏のオリンピックの開催地(リオデジャネイロ五輪)に決まっている。このことからリオ市内は急ピッチに会場やインフラの整備が行われているが、街中に点在するスラム街(今はファヴェーラと呼ぶそうだ)の対策が問題になっている。写真3はワールドカップに向けて改装中のマラカナンスタジアムとその後ろに広がるファヴェーラである(コルドバードの丘より撮影)。リオ市内でお世話になった日系ブラジル人ガイドによれば、急成長するブラジル国内の経済に社会システムがついていかず、以前に増して貧富の差が激しくなり、日本とは比べ物にならないくらいの学歴社会で、大学を卒業しただけでは十分な収入が得られず、また出世ができないため、昼間は仕事をして、夜は大学院に通っている人がたくさんいる、とのことであった。公立学校の教師はファヴェーラの中のアパートも借りれないほどの低収入だそうである。

スウェーデン/ルンド
スウェーデンのシンクロトロン光施設Max-Labは首都ストックホルムより高速鉄道を使って4時間ほどかかるルンドという街にある。一方、2000年7月に開通した全長16kmのオーレンス海峡大橋を使ってコペンハーゲンから電車を使って写真4マルメを経由し、50分程度で行くこともできる。ルンドの街に行くには、交通のアクセスを考えるとコペンハーゲンを経由するのが良い。ルンドの街中には大学(ルンド大学)が点在し、街自体が大学の街になっている。 Max-Lab訪問後、帰路でルンド中央駅からコペンハーゲン行きの電車に乗ろうとしたが、待てども待てども電車が来なかった。写真4はその時に表示されていた駅の案内だが、スウェーデン語で書かれているし、案内放送も全くないので、当初は状況がわからなかった。駅員に尋ねてルンド⇔マルメ間の電車が不通になっていることは理解できたのだが、代替バスを出すなど日本ほど親切でもなく、仕方なくマルメ中央駅まで地元のバスを乗り継ぎ、2時間遅れでコペンハーゲンに戻ることができた。幸いなことにほとんどのスウェーデン人は英語を話すことができる。

イギリス/オックスフォード
写真5最後の訪問地はDLSのあるオックスフォードである。オックスフォードも言わずと知れた大学の街である。皇太子の通ったマートン・カレッジや皇太子妃の通ったベルリオル・カレッジもここにある。夏の間は世界各地からの観光客でにぎわっている。やはり中国人は多い。写真は、施設訪問を終え、高速バスに乗るまでの時間を使って訪れたクライスト・チャーチ・カレッジの食堂(グレートホール)である。このカレッジは『不思議の国のアリス』の作者ルイス・キャロルが在籍したことで有名であるが、最近では、映画ハリー・ポッターの映画のロケなどにも使われたことでも有名である。


旅を振り返って
今回の出張では4つの都市を訪問したが、仕事の合間を縫って訪問地の歴史や雰囲気を感じるのもよい経験である。日本への帰国の途中、飛行機の左側の窓からNorthern Lightsが長旅で疲れた体と心を癒してくれた。最後になりましたが、施設訪問を快く引き受けてくださいましたMax-LabのDr. Katarina Norén、DLSのDr. Elizabeth Shottonとそれぞれの全ての施設スタッフの皆様に感謝いたします。
旅の写真

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