ユーザーインタビュー


いつもセンターをご利用いただいているユーザーの方に、様々な質問をし、ご意見やご感想をお聞きするコーナーです。第1回目は、九州大学大学院総合理工学研究院融合創造理工学部門、准教授の吉武先生にインタビューを行いました。




超ナノ微結晶ダイヤモンド(UNCD)膜と呼ばれる,無数の10 nm以下のダイヤモンド結晶の周りをアモルファスカーボンが取り囲む構造を持つ膜に関して,その物理気相成長法による創製とプロセス開発,さらにはその構造評価と新規物性の探索を行っています.今までに得られた結果から,半導体材料として紫外線受光素子と太陽電池素子への応用,硬く離型性の優れた特長を生かして硬質皮膜への応用を目指しています.



ダイヤモンドの構造評価には一般的にラマン分光が有効とされてきましたが,ダイヤモンド結晶の粒径が10 nm以下と小さくなると通常の可視ラマン分光ではダイヤモンドを感知できなくなります.一方,放射光を用いた吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)と光電子分光(PES)法では,原子の結合状態に起因する情報が長周期構造にほとんど依存せずに得られるために,UNCD膜のように複雑な構造を持つナノ材料に極めて有効であることが分かってきました.放射光が強い輝度を有することとビームの質が極めて良いことも,高感度で高精度な測定を出来る重要な要素となっています.


BL12で吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)と光電子分光(PES)を,BL15でX線回折(XRD)を行ってきました.
BL12のNEXAFS測定では,全電子収量法と蛍光法の同時測定が可能であり,表面と内部からの情報を同時に得ることが出来ます.NEXAFS,PESスペクトルともにピーク分離による詳細な解析により化学結合構造について深く定量的および定性的に考察することが可能です.
BL15のX線回折(XRD)測定では,数nmのダイヤモンド結晶からの回折線を観測し,膜中のダイヤモンド結晶の有無と粒径の高精度な見積もりを実現しています.ラボレベルのXRD装置では観測できない回折線を観測できるのは高輝度な放射光のおかげです.また,優れたビームのモノクロ性から,見積もられる結晶粒径は透過型電子顕微鏡(TEM)で観測される粒径とほぼ一致します. 


 使用に当たってはナノテク支援に助けられてきました.今年は大きなテーマを設定して長期利用で使用させて頂いています.おかげさまで系統的にまとまったデータが得られ,極めて効率的に解析が進んでいます.

真横にある宿泊施設が連日の実験では大変便利で助かっています.
BL07*の利用開始を心待ちにしております.
* 超伝導ウィグラーを光源とする新設ビームラインで、高エネルギーX線を使うことができる。


 

 

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